例えば、苦痛から逃れたいとずっと願っていて、ようやくその苦痛から解放されたとしても、そこで何をしたらいいのか分からない。
苦痛の中にいるときは耐えて自分を保つのにいっぱいで、その先のことなんて考える余裕もない。
解き放たれた先で目にするのは全てが初めてで新しく、それは鮮やかで美しいはずなのに、自分にとってはあまりにも未知のもので、どう受け止めていいのか分からない。
胸はときめき、心惹かれるのに、これまでとは違いすぎるものに戸惑う。
純粋にわくわくするには、心はくたびれていて、まずはここに何があるのかを知り、少しずつ慣れて、それからでないと身の振り方は決められないな…と、いうことをうっすら感覚的に思うのみ。
マイナスからのスタート。苦痛から逃れられただけでは、華々しい未来はまだ手に入れられていない。
まずはゼロ地点に向かおう。それがどこかも分からないけれど。
未知の不安は、苦痛に耐えることより良いものだと言い聞かせて。
目が眩むほどの輝きの中は何も見えない。だけど、これまでもずっと何も見えない暗闇の中を歩いてきたじゃないか。
一歩を踏み出そう。